防寒手袋、耐冷手袋、耐熱手袋など
熱から手を守る手袋には様々な呼び名がありますが
熱を遮断して手を守ると言う意味では断熱手袋とも言えます。
熱を通し難い=断熱性が高い=断熱手袋として高機能! と言うことになりますが
ポリエステル、ナイロン、コットン、ウール、アクリルなど
の繊維の材質には熱の伝わりやすさを示す熱伝導率があり、その値によって断熱性能を見ることができます。
板状のブロックなら、熱伝導率だけで判断できますが
繊維は多くの空気を含みますので、個人的には熱伝導率は参考程度と考えています。
生地の場合は、さらに編み組織の影響もありますので
単純に素材の熱伝導率だけでは判断し難いですね。
結局はどの繊維素材よりも空気の熱伝導率が圧倒的に低い為
空気をたくさん含む素材が良いと言えます。
100℃近いお湯に手を入れると一瞬で火傷してしまいますが
サウナで100℃近い温度でも大丈夫ですよね。
空気の熱伝導率が低く、皮膚に簡単に伝わらないからです。
また、じっとしていれば皮膚表面近くの薄い空気層があまり動かない為
熱い空気が肌に触れにくくなっている点もあります。
この動かない、動きにくい空気をデッドエアと呼び、断熱にとっては重要なキーワードとなります。
前置きが長くなりましたが
この空気層を含み、デッドエアを形成しやすくすることを狙って
断熱手袋を企画してみました。
一番の特徴は中空糸を使っていることです。
マカロニ状の繊維で、繊維の中心部が空洞になっており、デッドエアにより断熱性を高めています。
また中空糸を使った繊維はデニール数よりもフィラメントカウントが高く、微細な繊維を撚り合わせることで
繊維間の隙間/空気層をたっぷりと含んでいます。
そして中空糸で編んだ手袋の内側(裏側)にゴム糸を編み込むことで
靴下のような伸びとフィット感を実現しており
最も重要な肌の表面付近の空気層を動き難くすることで
暖かさを維持しやすくしています。
手袋を厚くすれば断熱性は良くなりますが
作業し難くなりますから
薄いインナー手袋を重ね履きするだけで、熱さや冷たさから手を守れればと思います。
手袋のあったか肌着/ヒー○テックといったイメージですね。
D.Ikeda